井戸

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もうサンタになることはないだろう

12/23(金)
結構チャキチャキと働いた。打ち合わせ、メール、電話。年明けに出さないといけないデザイン案を捌くための計画を立てる。納まらないよ〜と思っていたのに、個人的な絵の仕事まで受けてしまった。会社と別の仕事をもらえるのは嬉しいけれど、自分のキャパが心配になる。年末年始の自分に期待するなんて絶対無理だろうと分かってるのに。締まらない仕事を横目に20時頃に退社する。この日が最終出社のつもりだったが、月曜日も出ることにした。

恋人とYouTubeを見ながら飯を食った後、ベースを弾く。特に理由は無く、なんとなく弾きたくなったから。10年ぶりにクローゼットからベースを引っ張り出してチューニングする。案外まだ指は動く。死ぬほど聞いて、ベースラインが耳にインプットされている赤い公園の「highway cabriolet」を弾く。楽しい。学生の時も、セッションするより、既存の曲を始めから一音一音キッチリとなぞってコピーしていくのが好きだった。ある程度形になったところで何度も曲に合わせて弾いてみる。アンプに繋ぎたいな。彼が部屋に入ってくる。ちょっと驚いた顔をしたあと、そのままドアの前に体育座りして携帯をいじっていたので「何してるの」と聴くと「彼氏のライブが終わるまでライブハウスの隅で待ってる女の真似」とか言っていた。細かすぎて伝わらないのやつじゃん。「プラチナ」もサビ前辺りまでコピーして終わりにした。


12/24(土)
午前中から出かけて有明アリーナへ。恋人と2人でINIのリリースライブを観に行った。女性しかいないのでは‥とびびっていたが、思ったより男性客もいた。Only One Ofのリリースイベント以来、けどあれはショッピングモールの中庭でやっていたイベントだから、箱でアイドルを見るのは初めてだった。生で観ると、複数人数のアイドルグループでも「つい」目で追ってしまう人というのがいる。踊りのキレか、クセか。こういうのでファンは推しに心奪われるのか‥と思った。田島さんの手足が長すぎる。いや顔が小さすぎるのか。かっこよかった。MJと池崎さんに投票したファンは流石だなと思った。MCがあまりにグダグダすぎて「話すこと考えてこいよ」と思ってしまうが、これもオーディション番組アイドルならではなんだろう。あどけなくて隙だらけなのが生っぽい。低音がズンズンと響いて、INIの曲はライブでのこれを前提に作られているのかな?と思った。面白い体験だった。

買い物をして帰宅。夏に買ったブレンダーを引っ張り出してきてヌガーグラッセを作る。そのあと彼がグラタンも作ってくれた。付き合いたての時にも彼の家でグラタンを食べたのを思い出す。僕らは付き合って5年、一緒に住んで4年になるけれど、飯を食う時いつも手を繋いでいる。僕が左利き、彼は右利きで、テレビ(というかyoutube)を見ながら横並びで座るからだ。同性と生活することを選んだ自分が不思議だなという違和感と、この人より好きになる人なんて今後もう出会えないだろうという確信が、頭にもやがかる形で混ざり合う。ごく自然に、当たり前に同性愛して(性的な欲情を彼に感じながら)いるのが受け入れられなくなる時がある。女性と交際してた時の事を思い返してしまう。10年後もこんな感じでいられるのかな?、なんて贅沢な不安だと思う。彼のグラタンを食べたからだろう、perfumeのマカロニが頭の中を流れてしまっていた。


12/25(日)
朝起きて恋人の布団に潜り込むと「サンタ来てた?」と聞かれる。リビングに飾ってある小さいツリー(仕事の小道具で買って、撮影後にもらったやつだ)を見ると、月初めに店頭で買い損ねてガッカリしていたレゴの箱と、封筒が置いてあった。(結構人気ですぐ店頭在庫が無くなってしまうシリーズだ)こっそり探しておいてくれたのか。嬉しい。可愛いヤツだ。封筒には年明けのモーニング娘。23とOCHA NORMAのツーマンライブのチケットが入っていた。女性アイドルのライブも行ったことがないから楽しみだ。「中野サンプラザが無くなる前に行かないとね」と言っていて、更にカワイイヤツだなと思った。クリスマスにチケットを送り合っているのも変だし、こんな近いタイミングでアイドルのライブに2回も行くことになるのも面白い。

子供がいる人たちはみんな、この夜の間にサンタになってるんだろうな‥と同い年の同僚の顔を思い浮かべながら思った。僕は彼以外のサンタになることなんてもう無いんだろう。なんて、都合の良いないものねだりだ。

2人で大掃除。僕は玄関と水回り、恋人は食料棚とテレビ台を片付ける。丸一日かかって、夕方には信じられないくらいきれいになった。僕らは2人とも、やり始めたら割とトコトンやるタイプ。激オチくんで水回りをひたすらゴシゴシするのには謎のアドレナリンが出ていた気がする。「今なら家着いて行っていいですかが来てもいいくらいだね」と彼は笑っていた。絶対連れてこないだろうに。27日に僕の友人が遊びに来るから早めの大掃除をしたけれど、人が来る機会でもないとここまで掃除はしないだろう。だからもっと人を呼んだ方がいいんだろうな〜とは思うけど、彼は鎖国人間だから他者との接触を極力避けたがる。初見の人の前では寡黙になってしまうので、会わせるのはなかなか難しい。交友関係が少ないのは、嬉しいようで複雑だ。すっきり片付いた室内はどこか空気も澄んでいるような気持ちになった。ちょっとひんやりしていてて、静かで、喉の奥が沸々する。ソファにもたれかかると少しずつ部屋が体に馴染んでいく感じがした。これでいいんだ。昨日の残りを食べて、ベースを弾いてから寝た。


12/27(火)
うちに友人A、G、Eちゃんが来て年越せ米。年の瀬にみんなで飯を食うイベントだ。陶芸の仕事をしているEちゃんが人数分のお茶碗をわざわざ作ってきてくれて、各々は自作のふりかけレシピを持ち寄る。ふりかけなんて作ったことなかったけれど、好評を頂けたようで嬉しかった(僕はしらすとコーンと大葉を鰹節と炒めて、山椒をぶちかけたものを作った)砕いたドリトスとカリカリにしたベーコンを混ぜてライムを絞ったふりかけ、粉チーズと韓国海苔と玄米フレークを混ぜたふりかけなど、普段食べない味が楽しめて面白かった。恋人は出社してくれていた。

18時に会社の最寄駅に集まって、後輩君と同い年の同僚と3人でこじんまりとした忘年会をした。サウナと焼肉屋とカラオケに行く。ガリガリの同僚の腹に横一文字の傷跡があって、「盲腸?何か手術したの?」と聞くと「2歳の時に臓器移植の手術をした痕。一緒に成長して大きくなっちゃった」と言っていた。同僚の小さくて薄い体を横切る傷痕、なんかかっこイイな、と厨ニ心が疼いてしまった。

2階にあるせいかガラガラに空いた焼肉屋に入る。恋愛話から、過去の性の話、性の目覚めの話。男だけだから弾むよくある下ネタ話。「自分以外の人が勃起するところなんて直接見たことないもんね」みたいなことを言われて、咄嗟にだよねと答える。手コキもフェラもしたことあるよ♪なんてこの人たちには言えないな。この2人は、会社の人たちの中で圧倒的に仲が良いけれど、でも、誰かが会社を辞めたとしてそれでも遊んだりするだろうか。あくまでこの組織の中で、ある程度気を許して話せる(けど踏み込まない・踏み込ませない一線はある)止まりなんじゃないかなと思う。大学生の時も、同じ集団にいるから仲が良かっただけで卒業したらもうそれっきりになった人が何人かいた。同僚には子供もいる。子供がいたら友達レベルの関係性を新たに作る必要なんてもうないんだろうな、とぼんやり思った。そんなことないかもしれないけれど。勝手にヘンな壁を感じているのはこっちの自意識過剰かもしれない。一緒に忘年会してくれるだけで有難いことなのに欲張りだな。後輩君とがっつり2時間カラオケで歌っていたら終電を逃してしまい、タクシーで帰った。


12/28(水)
ベースを弾いたり沢山寝たりとのんびり過ごした。恋人が「たかみな〜!まりこが大変なことになってるよ〜!」とAKB時代の佐藤さんのパロディをしてちょけていた。これ伝わる人もう全然いないんじゃないかな‥。25日に作り損ねたケーキを2人で作る。一年に一度しか作らないけれど年々うまくなってきている気がする。

夜、ダメちゃんホンポpodcastの収録。2月から録り始めて、年内36話も配信していた。話すの自体が楽しかったし、リスナーの人からお便りを貰えて嬉しかったな。友達との笑い話を何度も聞き返すことがこんなに面白いとは思わなかった。こんな機会でもないと話さなかったであろうことを沢山話せたのもよかった。年明けに配信することを前提に、「あけましておめでとう〜今年もよろしくね」なんて言っているのが、プロっぽくて笑ってしまった。

録音しながら、ずっと仕上げ損ねていたデジタルステッカー(お便りをくれた人にあげるただのjpg画像)を2枚仕上げた。寝るのが5時になってしまった。


12/29(木)
恋人と2人で出かける。12時頃に改良湯。混んでるかもと思ってたけど、空いてたのでラッキー。改良湯はパイパンの人が多い。僕も試そうと思ったことはあるが、多分通常時どっしりドデカいタイプの人じゃないと様にならないんだよな〜。駅前で煙草を吸ってると、彼が肉まんを買ってきてくれる。皮がもちもちしてて、かつ具がうまい。大阪の551の店の息子だか孫だかが東京で始めた店なんだとか。暖簾分けなのか持ち出しなのか。肉まんっていつからあるんだろう?と思って調べてみる。肉まん=饅頭は3世紀に、人の首を川に沈める風習の首の代わりに作ったのが始まりらしい。頭なんだ。うまいわけだ。

原宿で靴を見たり、popmartに行ったりした。12月頭に福岡のWさんに貰ったのをきっかけに僕も彼もフィギュアへの感度があがっていた。思い切って3箱買ってみた。靴は、底がだいたい5cmくらいありますけど‥と言われて買う!となった。僕らが身長170cmコンプレックス民だと見透かしての営業トークだろう。ちょろくひっかかってやる。170cmは一番微妙だ。165辺りで可愛い路線にするか、せめて178くらいあってスラっとまとめるかのどっちかがいい。どうせ2人とも履くだろう‥と色違いを2足買うことにした。

帰宅して買ったフィギュアを開封する。感情をテーマにしたフィギュアで、14種類の中からランダムだったのだが当たったのが「constrained / 束縛」でウケた。happinessとかangryとか色々あるのによりによって。僕ららしいのかもしれない。頭の透明なところにガチャガチャと玩具が入っていて、なんだか僕ららしいな‥とより愛着が湧いた。

うどんと、鶏胸肉・小松菜を五香粉で炒めたものを作って食べる。食後はダメちゃんホンポのデジタルステッカーをもう1枚仕上げて寝た。