井戸

noteから移行しました。

海底での暮らしを覚えてる


11/27(日)

睡眠配分をミスったせいで2時・5時と起きてしまい、頭がぼうっとしたまま8時半に家を出る。10時半に熱海駅集合の約束。けれど、東海道本線上野東京ラインの名称の違いに惑わされたGが電車に乗り損ねたため、結局10時45分頃に集合した。遅刻する人がいると、その間ゆっくり煙草を吸えるので僕は嬉しい。

今回は熱海に住むEちゃんと、大学の同級生のG、Mと4人で集まった。Eちゃんは「友達の友達」という感じで、認識はしていたけれど直接やりとりしたことはあまり無かったのだが、4人ともゲーム実況集団「ナポリの男たち」の配信を視聴している事実が最近発覚し、その流れでEちゃんの住む熱海を訪ねる運びとなった。

11時から、ホテルニューアカオへ。歴史あるホテルを閉業し、展示スペースとなって話題になっていた場所。以前から行ってみたいとは思っていたものの、タイミングを逃して行けていなかった。天気の良い日で、光に満たされていた立派な内装はめちゃくちゃ見応えがあって良かった。壁紙や内装、ひとつひとつの造作が凝っていて、展示作品よりもホテルそのものをじっくり時間をかけて鑑賞したのが楽しかった。階毎に空気も匂いも違っていて、自分が今どこにいるのか分からなくなるような「特別で奇妙なホテル」の感覚が面白い。スイートルームやプールなどを見れたし、至る所に贅沢に布が使われていて、天井のつくり、椅子の肘掛け、時計の側面の柄、各フロアの看板、どれも愛らしかった。



今回の展示の概要を全く知らなかったのだが、ホテルの各部屋を会場として使われた作品はどれも不気味で不穏だった。ホテルで繰り広げられる非日常な営みの気配をどの作家も形にしようとしている感じがした。中でもひとつ、とても良い展示があって4人で沸いた。ここにあるホテルでやる意味を最大限に活かせている作品だったし、唸るような、こまやかなクオリティがあった。

バスで駅前に戻り、マックでカルビバーガーを食べる。友達と食べるマックは本当にウマい。せっかく熱海に来たのだから‥なんて言って海鮮など食べようとしなくて100点判断だった。

そのあとは歩いて坂を登り、旧日向家熱海別邸を見学する。ブルーノタウトの設計した、海が一望できる地下の部屋。案内人のおじいさんが丁寧に設計思想や経緯などを解説してくれたのだが、語り口があまりにも生き生きしていて、本当にこの建物が好きなんだな‥と思った。「この窓の位置や椅子の高さは水平線が目の高さになるように設計されている」と熱弁してくれたのだが、それ説明あってるのか?とずっと疑問に感じてしまう。途中までは「こんなに説明してくれないでも、勝手に見させてくれや」と思っていたのだが、あれこれ話すおじいさんが毎回最後に「‥で、こういうつくりで、なんかとても素敵ですよね」で締めていたのが印象的だった。とにかく素敵なのだ。それでいい。どの時代のどの国の人も、幅の広い階段に座るのは好きなんだな、それは僕と同じ感覚なんだな、と思った。最後に庭先で写真を撮る。親戚の家に集まった家族写真のようだった。あんな風に、好きなものをひたすら解説する老後の仕事はちょっと羨ましいな‥と思った。

16時頃から、Eちゃんの働く工房で指輪制作ワークショップ。今まで指輪というものを着けてこなかったのだが、ずっと細い指輪に憧れていた。色々相談しながら自分の指に似合いそうな金属や幅、加工方法を決める。僕は人差し指に着ける1mmのシルバーリングにマットの加工をかけた。思っていたより手に馴染むものが作れて嬉しかった。ずっと、なんとなく指輪を買うことに抵抗があったのだが、こうやって人と作ったものだったら普段着ける理由が出来て良いなと思った。

18時に工房を移動して次は陶芸体験。Eちゃんが用意周到すぎて、リッチなおもてなしにちょっと申し訳なくなる。でも折角準備してくれたし、作るならガッツリ作ろう‥と思って器を作ると決めた。


余ったレゴのパーツを入れるための蓋付きの器を作ることにした。蓋の上にもレゴを置けるようにしたくて、わざとカサが広い形にする。焼いた後縮むことも考慮しながら作り方と寸法を決めてから制作。途中、手捻りじゃなくロクロでやった方がよかったのでは‥とよぎったが、時間をかけて丁寧に捏ねていたら思ってた以上にきれいな円柱にすることができた。最後にフチを糸で切るのがとても気持ちよかった。
顔部分は中を空洞にしないといけなかったため、頭を閉じるのにとても苦労したのだが、Eちゃんも手伝ってくれてなんとか形になった。焼き上がるのが楽しみだ。焼いたら白くなるので半透明の釉薬をかけてもらうことにした。デザインや設計の勉強は大学〜今までずっとしてきていたけれど、工芸を作ることに関してはなんとなくコンプレックスを感じていた。思い描く、好みのプロポーションやボリューム感のものを作れないのではないかと。でも先日、金沢のSの家で陶芸をしたときも今回も案外思っていた通りのものが出来た。結局、やろうと踏ん切れるかどうかなんだろうな。あと、思っていたより自分にも集中力ってあるんだなと思った。

2時間半くらい土と格闘し、仕上がってから吸う煙草のうまいことなんの。21時半の電車で帰路についた。Eちゃんは3月からカナダにワーホリに行くらしい。大学時代から親しかったんじゃないか?と錯覚するくらい、ラフにあれこれ話しながら遊べてとても楽しかった。

ニューアカオと日向邸を観て、指輪と陶芸を作って、3日くらいかけてやるようなことを1日に詰め込んでいたからか、帰ってからはすぐに寝てしまった。