井戸

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すいか

0710(日)

近所の公民館に投票に行く。雲の流れが早く、道路に落ちる木漏れ日が見えたり見えなくなったりを繰り返す気持ちのいい朝で、ベランダの多肉植物にはピンク色の花が咲いていた。

10時過ぎに行ったからかあまり並ぶこともなく投票は済み、そのまま隣町まで恋人と2人で歩く。道すがら、近所の小学校も投票所になっていることに気づいた。しまった、こっちで投票すれば良かったな。小学校の中に入りたい。廊下の雰囲気、掲示板、下駄箱とかを見たかった。次からはこっちで投票しよう。

「行ったことのない街を散歩したい」と彼が言ったため世田谷線フリーパスを買って、三軒茶屋松陰神社前あたりを散策することにした。路面電車のような小さい電車は民家ギリギリを走っていて、車窓から家の中が見えるほどだった。部活帰りの男子高校生が沢山乗っていて、「日常」という感じ。日差しが強くなってきたのも相まって、ドラマ「すいか」のテーマが頭の中で何度も流れる。「すいか」のロケ地を回りたい!と思ったが、調べてみるとハピネス三茶やその前を流れる川は川崎がロケ地らしい。太子堂八幡神社まで行くか少し迷ったが、松陰神社に先に向かってしまっていたのでまあいっか、となった。彼も教授の喋り方のモノマネをして、僕のことを「ゆかちゃん!」と呼んできた。

松陰神社の商店街で見つけた洋食屋でコロッケハンバーグを食べる。あまり仕事に慣れていなそうな女性店員がおおげさに、忙しそうにしていた。効率が悪い動き方しているな‥と見ていたら恋人と目が合う。彼も同じことを思っていたのだろう。ハーフサイズで頼んだビーフシチューと甘くないアイスココアが美味しかった。

松陰神社には茅の輪くぐりというものがあった。唱え言葉を黙唱しながら3回輪をくぐるというもの。彼は「ちゃんと覚えて暗唱できないとバチが当たるんだよ、俺は霊圧高いから詠唱破棄できるけどね」とふざけていた。なんとなくお賽銭をして神社を出ると、神社の専用駐車場から真っ赤なフェラーリが飛ばして僕らの横を走り去っていった。ちぐはぐしてんな、と思った。

世田谷線の駅を一駅ずつ、乗っては降りてを繰り返し写真を沢山撮る。三軒茶屋に戻ってきてサーティーワンへ。トリプルを安く食べられるキャンペーンがやっていたので、2人で何を食べるかじっくり議論した。僕が選んだのはキャンディアップル・レインボーシャーベット・チョコミント。ジャモカアーモンドファッジが好きで最後まで悩んだけど、全部ウマかった。キャンディアップルはリンゴ飴の味とあったので賭けだな〜と思っていたが、りんごの果肉が入っていてとても爽やかだった。サーティワンのシャーベット系はハズさないんだよな。彼はポッピングシャワーやナッツトゥユーなどの定番をしっかり抑えていた。2階のイートインから階段を降りると、1階のカウンター席に座っていた外国人が視界に入る。青く大きい瞳の焦点は定まっておらず、呆然と無表情だった。ちょっとギョッとした。店を出ると、彼もすぐ「虚無外国人いたね」と言ってきた。確かに虚無だった。日本の暑さにやられてしまったのだろうか。

家に帰ってすぐ、2人でシャワーを浴びる。彼が買ってきたミントのシャンプーが頭皮をすっきりしてくれて気持ちがよかった。三軒茶屋で台湾人が売っていた肉まんと、野菜を蒸し鍋で蒸して晩飯。蒸したとうもろこし、甘くほくほくとしていて、この日のすいかな気分に合っていた。

玄関に不在票が入っていた。フジロックのチケットが届いていたようだった。