井戸

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350mlの区民プール

0522(日)
歯医者のあと、恋人と2人で区民プールに行く。結構暑い日だったのに空いていた。陽の光で明るい、がらんとした昼間のプール。館内放送できのこ帝国のクロノシスタシスが流れているのは独特の抜け感があって、良い雰囲気だった。彼はゆっくりと250mくらい泳いでいたが、僕は頑張って回遊コースを500m泳ぐ。プールから上がり、少し筋肉痛の予感を感じながらぐったりした体にドトールでアイスコーヒーを喉に注ぐのは気持ちがよかった。そのあと2人で渋谷に行って新しいリュックを探す。結局気にいるものは見つけることができなかったけど、2人で買い物するのは楽しかった。コロナのせいでPARCOの喫煙所が1人ずつしか入れないようになっていて、ちょっぴり贅沢な空間になっていた。ハナマサで鶏胸肉とキャベツと豆腐を買って、湯豆腐のような鍋のようなものを作って食べる。ポン酢で食うのがウマかった。

0524(火)
いつも残業をしているメンバーで19時頃にタクシーに乗りこみ東雲に行く。仲の良い後輩男子が東雲に住んでいるからだ。仕事はやばかったけど、前から決まっていた会だったし、そのために朝7時から作業したり昼もぶっ通しでやっていたので行くことにした。東雲はデカい商業施設やパチンコはあるのに、何故か「何もない」気持ちになる場所。社会人1年目の時に海岸通り沿いの社宅に住んでたのを思い出した。退廃的な空気が漂う埋め立て地のマンションは煙草がウマく感じる。男4人でボロい中華料理屋で晩飯食べたあと(すじ煮込みも餃子もめちゃくちゃウマかった)後輩男子の家に行って終電までスマブラをやる。彼は今年で社会人5年目になるのに大学生のような部屋だった。やたら綺麗な狭い1Kに統一感の無い安そうな家具・一切使っていないようなキッチン。女っけが全然無い。彼と40代の先輩はスマブラやり込み勢だったが、みんなかなり酔っていたので、無飲酒の僕も何度か勝つことが出来た。村人・ゲーム&ウォッチ・スティーブをローテで使っていると「井戸先輩らしいですわ〜」と言われた。クソしょうもない下ネタを話し、酒を飲んで、ゲームをする。こんな男子の遊び方をしたのはいつぶりだろうか。40代の先輩は秋に中途採用で入ってきた人なのだが、帰り道「井戸くんのイメージが変わったよ!こんな風に喋れる人だと思ってなかった!」と上機嫌で話してくれて嬉しかった。

0526(木)
水曜日に急ぎ案件が追加でいくつか舞い込んできて、マジで忙しくなった。のに、朝駅に行くと定期と社員証が無くてパニックになる。家に戻ってあちこち探したけれどどこにもない。恋人が前日に寄ったスーパーにも電話してくれたが、届いていないようで絶望した。彼が「とりあえず通り道を探そう」と言ってくれて家を出ると、マンションの前の道に落ちていた。馬鹿すぎる。彼は怒ることもなく「余裕ないだけから、落ち着けば大丈夫だよ」と言って送り出してくれた。優しい。そんな調子でてんてこまいしているのが重なって、午後、仲の良い先輩にデザインチェックして貰った時も、久々にめちゃくちゃ正論で叱られてしまった。クソ忙しい中で急いでデータを作り、ミスを連発すると、結局次の工程の人に迷惑がかかる。僕に余裕が無いからこそ、いつもより厳しく言ってくれる先輩の優しさが辛い。がっつり凹んだけど、落ち着いて丁寧にデータを作り直した。3時頃まで作業をし、なんとかデータを全部仕上げる。アドレナリンが出ていたせいか全然眠れなくなっていた。

0527(金)
6時に起きてすぐ出社し、4月〜5月の案件ラッシュのデータをなんとか仕上げきって各所に送る。デザイン16個、映像1個、Webサイト用の素材5個、撮影案件2つ、店舗の図面と装飾や什器。仲の良い先輩から引き継いだ案件が多くて日中は打ち合わせ詰めだったし、よくこなせたな‥と嬉しくなった。先輩がサポートしてくれたり叱ってくれなかったら出来なかっただろう。月曜日には渋谷の店舗の搬入がある。うまく出来ていればいいけど‥今からドキドキする。この日は定年退職する経理のおばちゃんの最終出社日。おばちゃんに見つからないように、オフィスの横の小部屋でひそひそアルバムを仕上げた。写真を大量に印刷して、みんなのメッセージカードと合わせて貼る作業。メッセージカードは100枚くらい集まっていた。サプライズで渡す予定だったため、17時に先輩とこっそりオフィスを出て、おばちゃん行きつけの店に先乗りした。夕方のお台場、海岸沿いには制服のカップルや家族連れが転々といて、夕日の中、逆光で黒々見える遠くの雲の中には雷が光っていた。平和な日常と非日常が混ざって、不思議な景色だった。

おばちゃんは、「送別会やらないで!私はしれっといなくなるから!」という主張を繰り返していたため、部としては何もやらないことになっていた。この日はおばちゃんがボスといくご飯に「たまたま」おばちゃんと仲の良い4人とOBの2人が居合わせる、という体で会を行った。仲の良い先輩、僕のOJTだった先輩、優しい法務担当の上司など好きな人たちばかりだった。みんな白々しく笑いながら「あれッ!偶然!」なんて言って始まる。僕の倍以上生きていて、社歴は3倍以上の人たちの懐かしい話をたくさん聞かせてもらった。めちゃくちゃ楽しかったし、あたたかい会だった。僕は自分の祖父母とそんなに交流をしたことがないせいか、おじいちゃんおばあちゃんくらいの年齢の人がずっと苦手だった。でも、会社に入って、経理のおばちゃんや上司たちが同じ目線でラフに話してくれるのが凄く嬉しかったし、同時にドギマギしていた。可愛がってもらい方が下手な僕にいつも気をかけてくれたおばちゃんが喜んでくれて、ボロボロになりながらアルバム作ってよかったな‥と思った。ついついワインを飲みすぎてふらふらになったけど、おばちゃんの最寄り駅まで話しながら一緒に帰った。おばちゃんは明日の朝9時に山梨に行くらしい。相変わらずパワフルだ。

しんどくて気持ちが折れそうになったり、頭を悩ませたり、遊んだり沢山笑ったり、叱られたり、頑張ったり、いろんな気持ちが駆け巡る1週間だった。でもこれでひと段落つくと思う。GWから駆け抜けた5月があと少しで終わる。コロナのせいもあって数年ぶりに「社会人をしてる」感覚の強い1ヶ月だった。