井戸

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能動的三分間

0514(土)

8時に起きてゴミを出す。恋人は資格のスクールがあるからと9時前に出かけていった。何にも予定のない土曜日。僕も出かけることにして、午後のシンウルトラマンのチケットを予約し、それまでの時間1人カラオケに行くことにした。

僕がよく行くカラオケ店はいつもガラガラで、店員は1人しかいない。飲み物がドリンクバー形式だから放っといてくれる感じが気に入っている。1人カラオケは久しぶりだったし、歌ったことの無い歌を何曲か練習がてら入れてみることにした。けど僕はそんなに歌が上手くなく、歌い慣れてないと、自分が思っている音程と口から出る音程がちょっとズレてしまうため、それを耳で聞いてから噛み合う具合を探すという作業が必要になってしまう。特にアイドルグループの曲を1人で歌うと、ボーカルが入れ替わるタイミングで音程の調整をするのが難しい。結局後半はいつも歌う「気持ちよくなれる」曲ばかり入れてしまった。ひとりだからそれでいいんだけど。歌がうまい(自分の声に対するコントロールの精度が高い人)が羨ましい。1時間歌って290円だった。

電車に乗って二子玉川へ行く。子供連れが多く、映画館はかなり混雑していた。ドリンクの列はどこも並んでいて、小学生男子5人組が並んでいる列に僕も並ぶ。人数は多いけど映画館の飲食物は値段が高いし、注文は多くないはずだと踏んだ。予想通り、Lサイズのポップコーンを5人で分けるようですぐに僕の番が来た。読みが当たったことが嬉しい。キャラメルポップコーンSとスプライトSを買い、急いで中に入った。予告編は既に始まっていた。

シンウルトラマンは変な映画だった。まだ観ていない人も多いだろうからあまり具体的な内容は書けないけど、「イイ!」「テンション上がる!」ところはあるにはあるのに、全体が仕上がっていない(編み込まれていない)感じがした。シンエヴァシンゴジラも内容云々の前に、映像や音楽で「映画館で見る意味があった!」という高揚があったけど、今回はそれが薄かった。少なくとも冒頭の始まり方にはそれがあったし(そうくるのか、始まった!という高まりがあった)怪獣は勿論、ザラブ星人メフィラス星人もキャラクターがバッチリはまっていて良かった。途中、バトルシーンで打ち込みっぽい曲になるところもカッケーな!と思った。けど、僕が好きだった、NERV本部のチーム感とか巨災対の人間関係みたいな、人類側の群像劇や緊張感がすごく弱く感じて、庵野監督らしくないな〜と思った。キャストの演技は良かったし、「シン」をやるならそこが見せ場だと思っていたのに。小さい子も観ることを仮定して難しくしないようにしたのか、それが特撮的だったのか。リアリティがある場所と、ざっくりとしている所のギャップが大きすぎてうまく消化できなかった。あと、これはかなり個人的だけど、長澤まさみがあんまり好きじゃない。更にエンドロールに流れた米津玄師の曲も僕はしっくりこなかったけど、Twitterで少し感想を見たら曲がめちゃくちゃ褒められていたから僕が世間とズレてるんだな‥と思った。でも僕はリアルタイムでウルトラマンを観ていた世代じゃないし、楽しみ方が違ったのかもしれない。

映画が終わって劇場内が明るくなると、近くにいた眼鏡の男性が電話をし出して「ごめん!ずっと電車に乗ってて電話出れなかったんだ!ごめん!」とそこそこ大きい声で思いっきり嘘をついていたのに笑ってしまった。周りにいる人みんな「この人本当はシンウルトラマン観てたよ‥」と心の中で思っていたと思う。図録を買おうと思っていたのに、煮え切らない気持ちで頭がいっぱいだったため、足早に映画館を出てしまった。

家に帰って昼寝をしてから、18時頃に恋人と隣町まで歩く。彼に、シンウルトラマンの良かったところだけを話していたらだんだん「良い映画だったんじゃないか?」と思い始めてきていた。隣町の、もうひとつ隣まで行ったところで見つけた狭い焼き鳥屋に入る。当たりだった。どれも美味しかったし雰囲気も良い。肉はぷりぷりしつつ、ネギはカリッと焼けたねぎまはとてもウマかった。どれも塊がデカいのに一つ200円程度、そこそこ飲酒もして2人で合計4000円だった。彼の後ろにある窓の向こうを、たびたび電車が走っている光景も良かった。

満月が雲に見え隠れする夜道、住宅街を歩いて帰る。暑くも無く寒くも無い程よい気温だった。歩きながら「土曜の夜に2人で飲みに行くの、男って感じがしていいよね」と彼が言っていて、確かに、こういうラフな感じで飲み歩けるのは楽しいなと思った。スーパーに寄って翌日のための食材を買って帰宅した。