井戸

noteから移行しました。

ズレている

0505(木)


午前中に恋人と家を出て銀座に行く。イトウヤで、書きやすそうなきれいな紙を買った。4月に一緒に中華料理を食べに行った経理のおばちゃんが、5月いっぱいで定年退職するため、仲の良い先輩と相談して寄せ書きのアルバムを作ることにした。そのための紙だ。6日に出社したとき、異動してきた男の先輩に「何の係でも無いのに優しいね、どうしてそこまでしてあげるの?正義感?」と聞かれ、自分でも何と答えたらいいのかよく分からなかった。正義感って何?別にその先輩は、そういうことを嫌がっているような話ぶりでもなく、単純な好奇心で聞いてきた様子だったけど(わざわざ案件を多く持ってる君がやらなくても、誰かに任せたらいいんじゃない?というニュアンスだった)少し困った。

そのおばちゃんは、僕や、他の独身男子陣をよく可愛がってくれていたし(一年目の時はお昼を作ってきてくれることもあった)、部のみんなへ差し入れをしたり、事務作業も率先してやってくれていた。僕らデザイナーは経理処理が下手で、先輩たちも確実にお世話になっていた(特に海外出張の時に)。誰が見ても面倒見の良いおばちゃん。そういう人に、歓送迎会は出来ないまでも何かしてあげたいと思うことは正義感なのだろうか。「正しい」って苦手だ。「本当の」も苦手。エゴを押し通す時に使う言葉な感じがする。でも仕事なんてそういうものか。業務的に言えば、別にやらなくてもいいことだから正しくはないと思う。正しくない。正義感じゃない。「正義感というくくりにされたくない」と思った。面倒くさ。

GINZA SIXのスタバでフルーツポンチアメリカーノを飲んだ。マンゴーや柑橘の細かいのがいっぱい入っていて、甘酸っぱくておいしかった。GINZA SIXの屋上を散歩しながら彼の写真を撮る。ビル群の中の緑と木陰。歪で良い写真が撮れるところだな〜と思った。蔦屋で彼が「ぞうのマメパオ」を買おうか迷っていて、センスが良いなと思った。

銀座の大通りは歩行者天国になっていて、子供連れが多い。ベビーカーに乗せられた幼児は、普通にバーバリーを着ている。怪しいおじさんにアテンドされる女優のような外国人女性2人組とすれ違う。資生堂の前辺りでは身なりの良いおじいさんが縁石に座って寝ていて、影が長く伸びていた。

銀座博品館でアレコレ見て遊んだあと、八丁堀へ。客が全然いない、ジャズのかかった中華料理屋で晩飯を食べた。店の見た目、食器、雰囲気はモロに中華料理屋で、店員も多分中国人。なのにジャズがかかっていて、少し何かがずれていたのが良かった。酢豚と肉野菜炒めを注文。食べやすい、美味しい中華だった。安いし。彼が「八丁堀に来たらまたここで食べよう」と帰りがけに言って、僕もそう思っていたところだった。

湊湯。きれいだったがとても狭かった。湿度高めのサウナだった。セット料金で入場するとバスタオルはもらえるけど、ミニタオルが無かったため手ブラ(というよりちんブラ)で中に入る。一つ一つの浴槽も小さめで、くつろぐにはちょっと手狭に感じた。僕はちょっと居心地悪かったけど、彼が好きそうな、背の高い中肉中背(背の高い中背は矛盾する?175cmくらいで痩せてもなく太ってもなくマッチョでもなくちんこの皮は剥けている、スーツが似合いそうな、普通と呼びやすい見た目の30代半ばの人のことを言いたい)の男が数人居た。サウナであったまり、心地良い温度感で歩く八丁堀の夕方は、割と良い町並みだと思えた。

夜になる前に帰宅。僕が横になっていると、彼が馬乗りになってきて、僕の肋骨を開こうとして遊んでいた。呼吸をするたびに横隔膜が動くのが面白いらしい。GWがもうすぐ終わるけど、全然仕事を進めていないのでそろそろヤバいな‥と思っている。頭の中に設計図は出来上がってきているから、どこかのタイミングで組み立て作業をやってしまわないといけない。別に働くのは嫌ではない。